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東京慈恵医科大学同窓会

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2024年11月25日 結束寿君(平20)日本頭頸部癌学会
令和5年度日本頭頸部癌学会優秀論文賞を受賞


 令和6年6月に浜松で行われた第48回日本頭頸部癌学会において、耳鼻咽喉科学講座結束寿助教が優秀論文賞を受賞した。日本頭頸部癌学会に令和5年度に投稿された全論文中より選出される賞で喜ばしい快挙である。
 受賞した論文は“下咽頭がんの栄養や炎症のパラメータと予後に関する検討”である。下咽頭がんは本邦の頭頸部がんの中でも2番目に多いがん種であり、集学的な治療にも拘わらず5年生存率は58.6%と予後は最も不良である。近年、腫瘍の病期とは関係なく、特に栄養状態の悪化が予後と関連することが明らかになっている。さらに全身の炎症反応は栄養低下及び様々な癌の予後不良因子であることは多くの研究で明らかになっている。予後に対し、血液検査情報のみから算出できる好中球/リンパ球比(Neutrophil-tolymphocyteratio:NLR)、リンパ球/単球比(Lymphocyte-tomonocyteratio:LMR)、血症板/リンパ球比(Platlet-to-lymp hocyteratio :PLR)、GPS(Glasgow prognostic score)、PNI(Prognostic nutritional index)や身長体重を加味したGNRI(Geriatricnutritional risk index)などの炎症や栄養のパラメータについての研究が多くなされている。しかしこれらパラメータのカットオフ値は報告によりまちまちであり、臨床応用についての一致した見解は今まで得られていなかった。結束君は本研究で、平成27年から令和2年までに慈恵医大附属柏病院で根治治療を施行した下咽頭がん83例について後方視的な調査を行い、前述したパラメータの予後予測因子としての再現性と有用性を評価した。その結果、GNRIやGPSなどのカットオフ値が施設間格差の均一化という点で汎用性も高く臨床応用し易いことを証明した。この成果は、下咽頭がんの治療前の栄養評価のパラメータとしてGNRIやGPSの臨床応用を促進する礎となるであろう。結束君は頭頸部がんの栄養評価や介入を精力的に行っており、今後のますますの活躍を期待したい。
(特平2・山本 裕記)

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