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東京慈恵会医科大学同窓会

定期支部長会議

第59回 定期支部長会議
同窓会支部長会議でのご報告

理事長 栗原 敏

1. 私立学校法が改正され、事業報告書の作成が義務付けられたため、平成16年度事業報告書を作成した。

2. 平成17年度事業計画と進捗状況

 平成17年度の事業計画の柱は、法令を遵守すること、医療安全管理を徹底させること、財政基盤の確立である。以下に進捗状況を報告する。

  1. 法令遵守精神の育成
     一連の不祥事を反省し、行動憲章、行動規範を定め法令遵守の精神を醸成している。また、内部監査室を設置し、公的な研究費、補助金の監査を行い、不正の発見と防止に努めている。公益通報制度を平成17年11月1日から発足させる。
  2. 医療安全管理の徹底
     医療安全管理体制の充実のために、5千万円の予算を計上した。医療安全管理室が中心となりリスクマネッジメントシンポジウムを開催し、教職員の出席を義務付けている。また、医療の安全管理と倫理のワークショップを定期的に開催している。これは、教職員・医学生・看護学生がグループワークを行い、医療事故の見方、考え方などが職種で異なることを認識し、医療に対する意識改革に資することを目的としている。
     青戸病院医療事故を風化させないため、毎年、11月8日を中心とした一週間を医療安全週間と定めた。教職員、学生は緑のリボンを着用し、四附属病院の相互視察やシンポジウムなどを実施する。また、標語やポスターを公募し、啓蒙活動を行う。
  3. 財政基盤の確立
     本学が、建学の精神に基づき医療人を育成し、社会のニーズに応える医療を実践し、また、新たな医学を開拓して使命を果たすためには財政基盤の確立が不可欠である。本学の帰属収入の85%は医療収入に依存しているので、四附属病院の運営が重要課題である。平成16年度の医療収入は予算に対して17億円の減収であったが、医療経費がそれに見合うだけ減少しなかったことを重視し、コストの見直しを行うことにした。2つの作業グループ(タスクフォース)を設置し、教職員が医療政策企画室の指導を受けながら作業を始めており、平成18年の3月までに分析結果を出す予定である。その結果をもとに経営指標となる情報を一元化して見えるようにし、病院運営の改善を図る。
  4. 寄附行為と寄附行為施行細則、学則の改定
     私立学校法が改正され、理事会の位置付け、外部理事の導入、監事の職務、財務諸表の公開などが明確化された。本学はそれに基づいて寄附行為を改定し、平成17年9月8日、文部科学省から正式に認可された。現在、寄附行為施行細則と学則の改定作業に入っている。

3. 短・中期的計画の概略

  1. 資金計画の概要
     これまで右肩上がりだった医療収入は、医療費抑制政策の影響を受けて伸び悩むことが予想される。今後、青戸病院や本院外来棟の建築には多額の資金が必要となる。これらの事業を成し遂げるには、毎年、5億円ずつ預金を積み上げていける収益構造を確立する必要がある。
  2. 病院運営の改善
     本学は四附属病院を有し、これまでは患者数を増やすことによって医療収入を伸ばしてきた。しかし、今後は、医療制度とそれぞれの附属病院を取り巻く医療環境を十分に考慮した病院運営が求められる。各病院の特色を出し、その上で本院を中心とした四附属病院の連携体制を構築する必要がある。特に、本院と青戸病院は地理的にも連携・協力体制を作りやすい。青戸病院は地域密着型の病院として卒前・卒後教育に活用していきたい。
  3. 建築計画
     本院のマスタープランでは中央棟に隣接して外来棟の建築が予定されていたが、医療収支悪化などで先延ばしになっていた。青戸病院は老朽化が激しく、外来、病棟共に手狭になっているので、建て替えが必要である。中期的建築計画として、青戸病院と本院外来棟の建築を最重要事項として位置付けた。また、大規模災害への対応を含めて、老朽化した既存の施設を整備することも併せて計画的に実施する。
  4. オーダリングシステムの導入
     本院から順次、各附属病院にオーダリングシステムを導入することを決めた。
  5. 卒後教育システムの構築
     魅力ある卒後臨床研修プログラムを提示することが、今後の臨床研修医募集の鍵となるので、各附属病院の特色ある臨床研修プログラムを早急に整備する。また、臨床研修後の専門医教育(レジデント教育)のプログラムを改善・充実させることは喫緊の課題であり、各科で早急にプログラムを改善するよう要請している。
     また、大学院を活性化するため大学院の改革案を研究科委員会に諮っている。すでに臨床研究の重要性が増すことを考慮して大学院に臨床コースを作り、また、臨床研究開発室を設置して成果を上げているが、引き続き臨床研究の推進を呼びかけている。   本学のコ・メディカルスタッフの資質向上と能力開発を視野に入れて、医療系大学院のあり方と看護学科修士課程に関する調査研究を開始した。社会人大学院などのシステムは、本学が魅力ある職場となるためにも必要である。
  6. 卒前教育の質の向上
     本学の医学・看護学教育が「特色ある大学教育支援プログラム」に採択された。採択課題は、「多くの職種が参加する医療者教育」で、先に採択された課題と共に2つの支援を受けることになった。学内の様々な教育を支援する組織として教育センターを設置した。医学教育研究室、看護教育研究室、卒後教育研究室、教育開発室の四部門で構成され、教育関係の補助金獲得などの仕事も担う。
  7. 教員医師人事システムの構築
     教員の履歴、業績のデータベースを作り、今後、教員・医師の評価や人事に有効活用するために、教員医師人事準備室を設置した。
  8. 看護専門学校と看護学科の見直し
     本学は看護師育成機関として四看護専門学校と看護学科を有している。看護専門学校志願者が減少していること、看護系大学が増えたため、看護師を募集すると外部から多数の応募があることなどを考慮し、専門学校と看護学科の今後のあり方を検討する。

4. 創立120周年記念事業募金の延長

 創立120周年記念事業募金は平成17年9月30日で終了する予定であったが、申し込み金額(31億円)が目標額(50億円)に達していないこと、今後、青戸病院、本院外来棟の建築などが予定されていることなどから募金期間を2年間延長する。新たに募金趣意書を作製し、同窓には1口10万円で寄附をお願いする。また、ドナーズボード以外に寄附者名簿一覧を作って閲覧できるようにして顕彰する。

5. 一連の不祥事について

  1. 臨床医学研究所の件
     全て処理済である。
  2. 文部科学省科学研究費の不正受給と不適正使用の件
     学内調査を行い、詳細な報告書を文部科学省と日本学術振興会に提出した。また、外部委員会を設置しその報告書も提出した。違反者に対して、2〜5年の申請資格停止の通達があった。
  3. 青戸病院医療事故の件
     現在、公判中あり、民事の和解に向けて努力している。平成16年10月17日にNHKスペシャルとして放映された番組に関する大学の考えについては慈大新聞(9月号)に報告した。

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