トップページ

同窓会トップ > 定期支部長会議

東京慈恵会医科大学同窓会

定期支部長会議

第58回 定期支部長会議
同窓会支部長会議でのご報告

理事長 栗原 敏

 平成15年9月25日に青戸病院の医療事故が報道されて以来、今年に入ってから、本院の産婦人科症例の問題、文部科学省科学研究費補助金不正受給の件、臨床医学研究所の補助金適正化法違反の件など、大学の不祥事が相次いで報道され、同窓の皆様には多大なご迷惑をおかけしており、心より深くお詫び申し上げます。
 これらの件を含めたこれまでの経過と、今後の改善と改革についてご報告いたします。

1. 大学全体に関する件の報告

  1. 青戸病院医療事故の件
     現在、公判中です。今日に至るまで大学事故調査委員会報告書が提出され、医療安全管理外部委員会が5月に24項目の改善提言を含む中間報告書を提出しました。近日中に改善提言と対策実施状況についてホームページに掲載します。約1年後に再び外部委員会の評価を受け、最終報告書が提出されます。ご遺族のご了解を得た上で外部委員会報告書を公表します。
  2. 本院の産婦人科症例の件
     同窓のクリニックから本院の産婦人科に転送された患者さんが死亡した件は、大学事故調査委員会と外部委員会が報告書を提出しました。今後、外部委員会報告をホームページに掲載する予定です。
  3. 臨床医学研究所の件
     オープン・リサーチ・センター整備事業に関する装置購入が補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律違反にあたることが、東京地検と文部科学省から指摘され、学内調査委員会を設置して調査し、本年3月に事実を確認しました。高橋元教授(元所長)は不正を認めず、大学に多大な被害を及ぼしたこと、所長権限を当面停止するという理事長命令に従わず混乱を招いたことなど、本学の就業規則に照らして、懲戒委員会と理事会で審議の後、懲戒解雇されました。大学は文部科学大臣から装置購入経費の返還命令を受け、返金しました。高橋元教授は懲戒解雇を不服とし、身分保全の申し立てをしましたが地裁で却下されました。高橋元教授は、その後、高裁に抗告しています。
     その後の調査で、高橋元教授は、新技術開発研究費とオープン・リサーチ・センター整備事業経費のうち、消耗品購入経費を納入業者に予め預けておき、そこから消耗品を購入していたことが判明しました。大学は遺憾の意を表し大学関係者を懲戒処分して、補助を受けた新技術開発研究費とオープン・リサーチ・センター整備事業経費の全てを、文部科学省と私立学校振興・共済事業団に返還しました。
  4. 文部省科学研究費補助金の不正受給と不適切使用に関する件
     外科学講座では留学中教員の名前を使い、科学研究費補助金を受給していたことが明らかになり、本年一月下旬に報道されました。大学は事態を重大と受け止め、学内、学外調査委員会を設置し全学的に調査中です。大学は両委員会の調査報告書と共に、再発防止改善計画を文部科学省に提出し、公表します。また、相応の懲戒処分を発表します。
  5. クリントエクゼクリニックの件
     クリントエクゼクリニックは、(株)新世紀メディカルに譲渡し諸手続きを完了し出資者に返金しました。大学の経済的負担はありません。

2. 新たな慈恵大学を目指す組織改革と運営

  1. 21世紀の慈恵大学の行動憲章を定めて大学の理念を明確にします。
  2. 寄附行為を新たな私立学校法に則り改定します。
    役員の任命規定を見直します。
    大学としての総合力を発揮するために理事に財務部長、医学科長、学外有識者を入れました。
    顧問に学外有識者を入れて管理・運営体制を強化します。
  3. 法人運営会議を開催し理事と事務部長との意思の疎通を図っています。
  4. 内部監査室を設置して公的研究費の使用状況を監査し不正を防止します。
  5. 具体的な建築計画を立てます。

    (i) 青戸病院再建に向けて調査を始めました。病院の理念を明確にした上で、今後、4-5年を目処に再建することを目標にします。

    (ii) 本院の外来棟を、8-9年後に建築することを目標にします。

  6. 講座等あり方検討会では継続的に講座のあり方を検討しています。
    外科学講座は今後、消化器外科分野、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科分野、小児・血管外科分野に分けて、それぞれに分野担当教授を置いて研究指導などにあたることになりました。
    呼吸器、乳腺・内分泌外科の分野担当教授選考を始めました。
    救急医学講座設置と臨床検査医学講座のあり方の検討を始めました。
    なお、内科学講座と外科学講座は大講座制となっており、それぞれのチェアパーソンは内科学講座:望月正武教授、外科学講座:矢永勝彦教授です。
  7. 教員人事育成システムを構築します。
  8. 教職員の意見を積極的に取り入れるシステムを作ります。
    グリーンボックス(提案箱)や相談窓口を設置し、秘密を保持して多様な意見を聞けるシステムを作ります。

3. 医療と病院の改革

  1. 医療安全管理の取り組みの充実

    (i) 4附属病院に医療安全管理室を設置しました。

    (ii) 医療の安全管理と倫理に関するワークショップを継続的に開催しています。今年の11月8日の週を医療安全週間とします。

    (iii) 鏡視下手術トレーニングコースを立ち上げ、今秋から本格的に開始します。数年以内には、このコースを修了した医師のみが鏡視下手術の術者や助手となることができるようにします。

    (iv) リスクマネッジメントシンポジウムを開催し倫理教育を充実させています。

    (v) スキルスラボの設置などにより医療技術の向上を目指します。

  2. 4附属病院の機能を分化し各附属病院で特色ある医療を実践していきます。
  3. 医療連携を推進します。
  4. 患者サービスを充実させます。

4. 卒前・卒後教育の改善

  1. 卒前教育の評価・点検を行い、医学教育の改善に努めます(医学科の教育は文部科学省の特色ある大学教育支援プログラムに選定されています)。
  2. 医療者育成のための卒後教育の充実を目指します。
  3. 入学試験を改善して優れた人材を獲得します。
  4. 慈恵大学全体の看護師育成のあり方を検討しています。

5. 研究の活性化

  1. 学科の研究科委員会を活性化し研究を推進します。
  2. 大学院の改善と充実に努めています。
  3. 看護学修士課程の設置を検討します。

 このように、大学は試練に学び積極的に改革を進めていますので、ご理解とご支援をお願い申し上げます。

top